少子化が末期の認識を遅らせる

今回は中下位校の多くに当てはまる重要な話です。「少子化が末期の認識を遅らせる」と言う事はどういう事でしょうか?

少子化がおかしな安心感を生み出してしまう

少子化で学生募集に苦労している学校が多い事は誰にも想像がつく話ですが、この事がかえって多くの学校が「自校が末期状態である」と明確に認識するのを遅らせてしまっています。

例として以下の二つのパターンを考えてみましょう。

  • パターンA:18歳人口が十分いる時代に定員の30%しか集まっていない
  • パターンB:18歳人口が少ない時代に定員の30%しか集まっていない

良く読めば分かりますが、この二つのパターンはいずれも定員の30%しか集まっていません。しかし、広報担当者を含めた学校関係者が感じる危機意識はパターンAの方が強く出ます。

理由として対象者が多数いる時代に集められないわけですから物凄い危機意識を感じるわけです。それこそ競合にはわんさか集まっているのに自校にはさっぱりとなれば、学校存続の危機と強く認識するでしょう。そのため、何とかしなくてはといろいろと積極的に考えるわけです。

では、パターンBはどうなのか?と言えば、少し違ってきます。

少子化になると「学生が集まらなくても仕方がない」「少子化だからどこも集まっていないでだろう」という「うちだけではなく他も悪い」という開き直りの意識が強く働くため、それが一種の(諦めに似た)おかしな安心感に変わり、学校の現状を明確に認識する事が出来なくなります。

そのため、努力して何とかしなくてはという気持ちが薄くなり、学校のために頑張ろうという方が出にくくなってしまいます。いわば「頑張ったところでどうにもならないよね・・・」という気持ちが生まれます。

結果として学校が極めて危険水域の中にあるにも関わらず、少子化のせいなので仕方がない(対応できない)と信じ込んでしまっているわけです。

こういう方が教職員の多くを占めるようになると、末期の学校が「廃校を確定させる」段階に進んでいると私は考えています。

学生が集まっていないという事実だけが重要

ではどう考えるべきか?

と言えば、そもそも少子化だろうが何だろうが全くもってどうでも良い話なのです。それこそ今頃2018年問題について調べている方も同じです。調べた所で学生数が減少している事実は変わらないわけです。今後も学校を残したいのであればその状況を改善しないといけないのは誰の目にも明らかなのです。

つまり、学生を集めるか、あるいは今の募集状況でも何とか継続できるくらいの学校組織のシェイプアップ(無駄をなくす)しかないのです。とは言え、後者は後ろ向きな施策のため学生を集める事を意識しつつ無駄も減らしていくという考え方がベターでしょう。

まわりの環境がどうであれ、学校広報の立場で言えば学生を集めるのが与えられた責務です。集める上での問題があるのであれば教職員全体に現実を理解させて(それこそ強制的にでも)協力をさせなくてはいけないのです。

例えば学生が一人入学すると1年で100万円入るとしましょう。全部で50人しか入らなければ5,000万円+在校生からの授業料収入が主な学校の収入となるわけです。それまでの貯蓄はとりあえずここでは置いておきまして、その中で人件費や広報予算、福利厚生、その他をやりくりしないといけないわけです。

小学生の算数が出来ればこのレベルでは「きつい」事は誰でもわかるでしょう。その状態になってももしワガママを言う教職員がいれば事実を認識してもらうべきだと私は考えています。お金は湧いて出てくるわけではないのです。

学生が集まっていない学校が生き残るのには教職員全員が一丸となって、どうやれば学生を増やせるのかを考えなくてはいけません。

教員であればどうやって教育の質を上げるか、それをどうやれば納得してもらえる形で見せられるかなど、それぞれの担当でやるべき事はいくらでもあるのです。間違えても「自分がやりたいようにやる」などと言うのはもう通用しないのです。

私大の多くが定員割れの現在、多くの学校にはもうほとんど時間は残ってないと本気で理解しないといけません。そうでなければ近い将来、貴校は廃校の憂き目に会うかもしれないのです。

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